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電気料金値上げによる関西地域の製造業への産業影響(会議所ニュース7/11号)

2013年7月12日 金曜日

(会議所ニュース2013年7月11日号掲載記事)

 原子力発電所の停止や稼働減により、発電に使う化石燃料の輸入量が増加し、電気料金の値上げが行われている。この影響について関西地域を例にとって分析を行ったRITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)の秋元圭吾氏と本間隆嗣氏に解説していただく。
  

電気料金値上げによる関西地域の製造業への産業影響
~鉄鋼・化学・窯業・土石業などに影響大、府県別では和歌山・滋賀に

公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)
主席研究員 秋元 圭吾 氏
主任研究員 本間 隆嗣 氏

2万3千人分の給与額に相当
1200億円の負担増

 RITEは、6月11日に「関西地域における電気料金値上げによる製造業への影響分析」に関する調査レポートを公表した。
 電気料金の値上げは、家庭における電気代上昇の影響が注目されがちであるが、実際には、産業への影響は大変大きく、それに伴って雇用喪失につながる懸念が大きいと考えられる。これらの影響は複雑であるため、直観的に理解しづらい一面があり、データに基づく定量的な分析が重要である。
 また、国内に化石燃料資源がほとんど存在しない日本では、電気料金の値上げの主要因である化石燃料の輸入増加は、海外への資金流出へとつながり、その費用が国内還流とはならない点にも留意が必要である。
 さらに、生産における電力使用状況は地域や部門によって大きく異なるため、電気料金の値上げの産業影響について、より現実的に把握するためには、地域や部門を詳細に検討することが重要である。
 そこで、本分析では、ホームページ上で公開されている平成22年工業統計を利用して、現時点での電気料金値上げ幅が大きい関西地域を中心に電気料金値上げによる製造業への影響分析を実施した。
 本分析結果からは、電気料金上昇による関西地域への影響は大きく、また一部の業種には極めて深刻な影響が推計された。雇用への影響などに大きく広がらないうちに、電気料金上昇抑制の方策を早急に講じることの重要性が示唆された。

図1 現金給与当たりの電気代増加分の比較

  製造業における電気料金値上げ(査定中のものを含む)による電気代増加分を、現金給与額当たりの比率で評価すると、全国平均では約1・1%相当と推計された。一方、関西地域は全国平均や関東平均などと比較して、相対的に影響が大きく、約1・9%と推計された(図1・関西地域では2013年5月現在、約+17%の電気料金の値上げ)。これは、関西地域では、電気料金の値上げ幅が大きい、電力多消費型の産業が多い、一人当たり給与額が関東と比較して低いことなどが原因である。関西地域の製造業全体の電気代増加分額は約1020億円であり、これは、関西地域の製造業の約2万3千人分の現金給与額に相当する。
 産業別に分析すると、産業による電力使用額比率の違いが値上げ負担に大きく影響する。電力使用額比率が相対的に大きい、鉄鋼業や化学工業、窯業・土石業などは、電気料金値上げによる極めて深刻な影響が予想される。
 また、府県別に分析すると、産業構造による府県の違いが値上げ負担に大きく影響する。電力多消費産業を多く抱える和歌山県や滋賀県への影響が相対的に大きく、一方、多消費産業が少ない京都府や奈良県の影響は相対的に小さいと推計された。

 

府県により異なる産業構造

 平成22年工業統計によると、関西2府4県の製造業の産業構造は府県によって大きく異なる。生産額で比較すると、和歌山県では鉄鋼業や石油製品、化学工業の比率が特に大きい。滋賀県では化学工業や窯業・土石、プラスチック製造、大阪府では化学工業や石油製品、鉄鋼業、兵庫県では化学工業や鉄鋼業の比率がそれぞれ大きい特徴がみられる。一方、京都府と奈良県では電力多消費産業である産業の比率は相対的に小さい。また、関西地域平均の一人当たり給与額(製造業平均)は、日本全国平均よりも若干高いものの(図2)、関東平均に比べ低い。

図2 関西地域の府県別1人当たり現金給与額(製造業平均)

 

平均で1人当たり8万円も増加/産業別の比較

 電気料金上昇に伴う影響は産業によって異なる。影響が深刻なのは、化学、鉄鋼、非鉄、窯業・土石などの産業である。これらの産業は電力の原単位(生産額当たり電力購入額)が相対的に大きいため、製造業平均と比較すると、非常に大きな影響を受けると推計された。

50万円超える業種も

 電気代増加分を従業員一人当たりに換算すると、製造業平均では約8(万円/人/年)であるのに対し、電力の原単位の大きい化学、鉄鋼、非鉄、窯業・土石などの産業は50(万円/人/年)を超えると推計された(図3)。また、電気代増加分を給与に占める割合に換算すると、製造業平均では約2%であるのに対し、電力の原単位の大きい産業では10%を超えると推計された(図4)。 

図3 関西地域の従業員数1人当たりの電気代増加分(上位10産業)

  
図4 関西地域の現金給与額当たりの電気代増加分の割合(上位10産業)

 
 

値上げ分は和歌山で給与の2・9%分に/府県別の比較

 電気料金値上げによる関西地域合計(製造業計)の電気代増加分は、製造業の約2万3千人分の現金給与額に相当する。府県別の内訳としては、経済規模の大きい大阪府や兵庫県の負担額がいずれも7千人相当の現金給与額に相当すると推計される(図5)。

図5 電気代増加分の現金給与額に相当する人数

 府県別(製造業平均)で比較すると、給与額当たりの電気代増加分について、和歌山県と滋賀県がそれぞれ2・9%、2・2%と推計され、相対的に影響が大きい。これは、府県別の産業構造によるもので、和歌山県では電力を多く消費する産業である化学工業や鉄鋼業の産業比率が多く、滋賀県では化学工業や窯業・土石業の比率が大きいためである。一方、電力を多く消費する産業の比率が小さい、京都府や奈良県では、電気代値上げによる影響が相対的に小さく、それぞれ1・4%、1・8%と推計される。

 

雇用への影響拡大する前に電気料金抑制策を

 大震災以降、電力を取り巻く環境が大きく変化している。しかし、依然として電力はほとんど全ての産業の根幹を支える必要不可欠なエネルギーである。厳しいコスト競争に晒されている企業にとっては、安定的かつ安価に供給される電気が極めて重要である。
 本分析で示されたように、電気料金値上げは製造業全体に大きな影響をもたらすとともに、特定の業種、そしてまた地域により大きな影響が及ぶ。電気料金の値上げによる経済への悪影響、特に雇用への悪影響が拡大する前に、電気料金を抑制する方策を講じることが重要である。
 そのためには、安全の確保が最優先ではあるものの、安全が十分に確保された原子力発電の再稼働は電気料金を抑制するための最も効果的な施策の一つであり、速やかな対策が必要であろう。(了)

 

公表先URL(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構 ホームページ内)
 http://www.rite.or.jp/Japanese/labo/sysken/systemkansai-electricityprices.html

これ以上の電気料金上昇は死活問題 衆議院で意見陳述(会議所ニュース6/21号)

2013年6月21日 金曜日

 

意見陳述をする清水委員

衆議院で意見陳述

 

 日本商工会議所の清水宏和中小企業政策専門委員(東京商工会議所・環境委員会委員、清水印刷紙工・社長)は4日、衆議院の経済産業委員会に出席し、電力システムを改革するための電気事業法改正案について日商の意見を陳述した。

 清水委員はまず、「中小企業は電気料金の上昇分を価格転嫁できていない」と指摘。電気料金がこのまま上昇を続け、安定供給が再び失われれば、「企業の存続自体を脅かす死活問題」になりかねないという中小企業の現状を説明した。

 電気事業法改正案については、その目的に「電気の安定供給」と「電気料金の最大限の抑制」を掲げていることを評価。一方で、3番目に掲げられた「需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大」は、「安定供給と料金抑制のための手段に過ぎない」と指摘。安定供給と料金抑制の実現を担保するよう強く求めた。

 この後、「余剰設備」「電圧・周波数の維持」などについて陳述するとともに、「電力自由化による事業者の競争のみでは、必ずしも電気料金の抑制にはつながらない」との認識を示した。その上で、「電気料金抑制と安定供給の実現」のためには、「安全が確認された原子力発電所の速やかな再稼働が必要不可欠である」と訴えた。

 これに対して、質問に立った国会議員から「私も電気料金の安定と安定供給が目的で、そのための手段としてシステム改革があると考えている。改めてそのことを清水参考人の発言で確認した」との発言があるなど、同法案の主な目的は、電気料金の抑制と電力の安定供給であるとの主張に理解が示された。

 同法案は「電力の安定供給の確保と料金の最大限の抑制」を改革の目的として明記。政府の責任を明確化し、料金規制の撤廃を延期する条件を限定するなどの修正をすることで自民、公明、民主の三党が合意し、今国会で成立する見込みとなっている。

安定・低廉な電力が必要 ヒアリングに出席 自民党電力安定供給議連(会議所ニュース6/1号)

2013年6月3日 月曜日

 意見陳述する中村専務理事

 日本商工会議所の中村利雄専務理事は、5月22日に開催された自由民主党・電力安定供給推進議員連盟のヒアリングに出席し、日商の意見を陳述した。

 同議員連盟は、「国土強靭化」と「競争力強化」の観点からエネルギー政策を検討するため5月14日に設立された。6月下旬まで週1~2回の検討を行い、とりまとめを行う予定。第1回会合が「原子力停止に伴う電力需給状況と経済社会への影響」をテーマに開催されたことから、今回は電気を使う中小企業の立場から日商の意見を伝えた。

 中村専務理事は、「エネルギー政策は国の命運を握る極めて重要な基幹政策」であると強調。「エネルギーが安定的に低廉な価格で供給されることが経済再生・成長の前提条件」であると指摘し、電気料金の上昇が続いている現状に懸念を表明した。

 その上で、資源の乏しい日本においては、「安全性の確保を大前提に、原子力発電を含む多様な電源を維持していくべき」と指摘。「安定供給・エネルギー安全保障」「コスト・経済性」「品質」「地球温暖化問題への対応」などの総合的な観点から、「実現可能なエネルギー政策を選択する必要がある」と強く訴えた。(了)

【関連記事】
▽電気料金値上げに意見(会議所ニュース3/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/8240.html
▽四国電力が電気料金値上げを発表(会議所ニュース3/1号)
https://eco.jcci.or.jp/news/8075.html
▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html

講演会「原発ゼロでニッポン大丈夫?-持続可能なエネルギー政策・温暖化対策を考える-」開催(三次商工会議所)7月2日(火)13時30分~(広島県三次市)

2013年5月16日 木曜日

 

 三次商工会議所では、21世紀政策研究所研究主幹の澤昭裕氏(日本商工会議所環境専門委員会委員、日本商工会議所エネルギー・原子力政策に関する研究会委員)を迎え、講演会「原発ゼロでニッポン大丈夫?持続可能なエネルギー政策・温暖化対策を考える」を開催する。

 

〔日 時〕20137 2日(水) 13:3015:00

〔会 場〕三次グランドホテル

〔講 師〕21世紀政策研究所研究主幹 澤 昭裕 氏

     

詳細はこちら→http://t.co/wNPhahlupO

(参考)
  安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html
  電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
  「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7145.html
  「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html
  「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧(会議所ニュース11/21号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6922.html

「無理のない節電」必要 コスト増深刻 3.8兆円が海外流出(会議所ニュース5/1号)

2013年5月7日 火曜日

(会議所ニュース 平成25年5月1日号掲載記事)

「無理のない節電」必要 
コスト増深刻 3・8兆円が海外流出

 経済産業省は4月19日に第3回、23日に第4回「電力需給検証小委員会」を開催。今夏の電力需給に関する同委員会の報告書を第4回会合で提示した。同報告書は今後、細部の修正を経て公開される予定。 
 日本商工会議所からは、第1回、第2回に引き続き、日商中小企業政策専門委員会の清水宏和委員(東京商工会議所・環境委員会委員、清水印刷紙工・代表取締役社長)、秋元圭吾委員(日商エネルギー・原子力政策に関する研究会委員)が参加した。 
 今回提示された報告書には、今夏が2010年並みの猛暑となった場合においても、全ての電力管内で電力の安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しと記載。ただし、見通しは大飯原子力発電所3、4号機の稼働を見込んでのもの。加えて同原発が稼動しなかった場合などの大規模な電源脱落が発生した場合には、電力需給が逼迫する可能性があり、引き続き予断を許さない状況であることも併記している。また、原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電の燃料費が2010年度比で3.8兆円増加するとの試算も明記。火力発電所の燃料費増加に伴うコスト増が深刻な問題であることが改めて浮き彫りになった。
 同報告書には、コストに関する分析が記載されたほか、火力発電所の計画外停止のリスクや専門家派遣による省エネ指導の必要性なども記載され、清水委員、秋元委員からの指摘事項が多く盛り込まれた内容となっている。
 今回提示された報告書を受けて、清水委員は、「電力の需給検証とコスト検証は切り離して考えられるものではない」と強調。電気が足りていても「価格的な評価」が今後の課題であると指摘した。 
 政府は、今回とりまとめた報告書を元に「無理のない範囲での節電要請」を行う予定にしている。 
 日商では喫緊の課題である電力の安定供給と料金抑制のため、安全を確保した原子力発電所の再稼働を今後も要望していく。(了)

<関連記事>
  ▽夏季電力需給の見通し、提示 日商計画外の停止を懸念(会議所ニュース4/21号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8463.html
  ▽夏季の電力需給の検証スタート 日商から委員参加(会議所ニュース4/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8431.html
  ▽電気料金値上げに意見(会議所ニュース3/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8240.html
  ▽四国電力が電気料金値上げを発表(会議所ニュース3/1号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8075.html

 

夏季電力需給の見通し、提示 日商計画外の停止を懸念(会議所ニュース4/21号)

2013年4月23日 火曜日

経済産業省は9日、第2回「電力需給検証小委員会」を開催。電力会社の報告に基づき、各地の夏季の電力需給見通しが示された。他地域からの融通を前提に一定の予備率は確保できるが、余力に乏しく節電対応が必要な状況が続きそうだ。

日本商工会議所からは前回に引き続き、日商中小企業政策専門委員会の清水宏和委員(東京商工会議所・環境委員会委員、清水印刷紙工・代表取締役社長)、秋元圭吾委員(日商エネルギー・原子力政策に関する研究会委員)が参加した。

清水委員からは、「震災以降、老朽火力発電所を含む火力発電所の稼働率が増加したことに伴い計画外の停止が2割増加」していることに対する懸念を表明。「余剰電力設備の維持が、危機的状況の回避に繋がった」と現状を評価しつつも、今後、コストとバランスをとりながら、どの程度の余剰設備を持つべきかを議論すべきと指摘した。

夏季の節電目標については「景気の回復が予想される中で、節電分のマイナスと景気回復分のプラスをそれぞれの事業所、特に中小企業で正確に算定するのは難しい」と指摘、さらに「コスト面の検証を早急にしてほしい」と注文を付けた。 

秋元委員からは、電力需給に関して「大飯原発の3、4号機の再稼働が前提」となっていることを指摘。稼働が停止している場合の電力需給状況を計算するように求め、次回の会合で提示されることとなった。 

同委員会では、電力需給状況など、細部について検証を続け、4月中に需給見通しやコスト検証などについて報告書をとりまとめる予定にしている。 

日商では喫緊の課題である電力の安定供給と料金抑制のため、安全を確保した原子力発電所の再稼働を今後も要望していく。(了)

 

【関連記事】
 ▽電気料金値上げに意見(会議所ニュース3/11号)
  https://eco.jcci.or.jp/news/8240.html
 ▽四国電力が電気料金値上げを発表(会議所ニュース3/1号)
  https://eco.jcci.or.jp/news/8075.html
 ▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
  https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
 ▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
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日商環境ナビhttps://eco.jcci.or.jp/

 

夏季の電力需給の検証スタート 日商から委員参加(会議所ニュース4/11号)

2013年4月12日 金曜日

夏季の電力需給の検証スタート
日商から委員参加

 

 経済産業省は3月22日電力需給検証小委員会の第1回会合を開催。夏の電力需給の検証を開始した。昨年より1カ月早い着手で4月中に節電目標を含む対策をとりまとめる。委員構成も見直された。昨年の検証会合は有識者のみで構成されていたが、産業界から2名の委員が加わった。うち1名は日本商工会議所中小企業政策専門委員会の清水宏和委員(東京商工会議所・環境委員会委員、清水印刷紙工・代表取締役社長)。

 清水委員からは、「中小企業にとっては電力需給とともに電気料金の値上げが大きな懸念事項である」と中小企業にとって電気料金の値上げが電力需給状況と並ぶ最大の懸念事項であると指摘。「自家発電などの対応策のない中小企業は休日出勤や時間外労働で対応することになり、人件費が急激に増加する」、「今後、電気料金の値上げが続くようであると、中小企業にとって死活問題となる」と強調した。

 これについて、秋元圭吾委員(日商エネルギー・原子力政策に関する研究会委員)が、「検討資料にコストが抜けている。北海道電力の資料で、石油増で対応した実績があるが、それにかかるコストは書かれていない。しかし、それが電気料金に反映される」と指摘。電気料金について同委員会で議論するよう求めた。他の委員からもコストの重要性について指摘があった。

 経済産業省では今後、コスト面の影響も含めて需給対策を検証していく。

 東京電力に始まった電気料金の値上げは全国に波及している。関西電力と九州電力は5月から値上げを実施、東北電力と四国電力が現在、審査を受けている。北海道電力も4月中にも値上げを申請する方針だ。

 日商では喫緊の課題である電力の安定供給と料金抑制のため、安全を確保した原子力発電所の再稼働を今後も要望していく。(了)

再生可能エネルギー固定価格買取制度 日商から意見提出(会議所ニュース4/11号)

2013年4月12日 金曜日

再生可能エネルギー固定価格買取制度
日商から意見提出

 

 日本商工会議所は、3月22日「再生可能エネルギー固定価格買取制度における平成25年度新規参入者向け調達価格等の改正」に対する意見書を資源エネルギー庁に提出した。

 同庁は、「平成25年度新規参入者向け調達価格」を、3月12日に公表し、意見を募っていた。

 日商が出した意見書では、「再生可能エネルギーの導入は推進していくべきで再生可能エネルギーの固定価格買取制度は取り得る一つの方法」であると理解を示しつつも、「広い国民負担を伴うもの」であると指摘。その上で、過度の国民負担が生じることのないよう、「調達価格を決めるに当たっては、国民負担の妥当性、制度の効果などについて、充分に情報が開示され、慎重な検討が行われるべき」と強く求めた。

 

 ※意見書全文は、ホームページ(https://eco.jcci.or.jp/news/8365.html)を参照

(了)

電気料金値上げに意見(会議所ニュース3/11号)

2013年3月13日 水曜日

(会議所ニュース 平成24311日号掲載記事)

東北・四国 原発の再稼働を要望

  各地の電力会社で料金値上げが予定される中、日本商工会議所は全国の商工会議所とともに、値上げが中小企業に与えるダメージを訴え、電力会社の徹底的な経営努力や、安全性を確保した原子力発電所の順次速やかな再稼働を要望している。
 2月14日、20日には、東北電力、四国電力が相次いで規制部門の電気料金の値上げ認可を申請。これを受け、今月5日に経済産業省の電気料金審査専門委員会での審議がスタートした。
 同日の会合には、仙台商工会議所の渡辺静吉副会頭、高松商工会議所の中博史副会頭が出席し、それぞれ東北電力、四国電力の値上げに対する意見を述べた。
 渡辺副会頭は、「復興が正念場を迎える大切な時期に、電力料金の値上げが行われるのは好ましくない」という被災地に共通する思いを強調。電力会社に値上げ幅の圧縮に向けた惜しみない努力を求めるとともに、政府に対し、値上げにより地域の経済活動が縮小することのないよう、十分な景気対策を行うよう要望した。
 さらに、低廉な価格で安定的な電力を供給するため、原子力発電の安全性強化を着実・迅速に早め、安全性が確保された原発を順次速やかに稼働すべきと主張した。
 中副会頭は、当面のエネルギー政策における最優先課題は、「安価な電力の安定供給」と主張。電気料金の値上げは経営体力が弱い中小企業にとっては大きな負担であることを指摘する一方、「安定供給に必要な電力会社の経営体力維持も必要」として、値上げに一定の理解を示した。
 その上で、安全性の確保を前提に原発を早期に再稼働するよう要望。また、電力システム改革について、原発の再稼働が進まず需給のバランスも取れていない中での自由化により、地方の小口需要家を中心に割高な電気料金になる恐れがあるとして、慎重な対応を求めた。
 なお、東北電力、四国電力の料金値上げについては、5月に公聴会が開催されるほか、現在「国民の声」として広く意見を募っている。(了)

<参考資料>
  ▽「総合資源エネルギー調査会総合部会 電気料金審査専門委員会(第20回)」
                                                   (経済産業省HP)

  配布資料:http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denkiryokin/020_haifu.html

<関連記事>
  ▽四国電力が電気料金値上げを発表(会議所ニュース3/1号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8075.html
  ▽活断層評価で議論呼ぶ原子力規制委と電力会社への注文(会議所ニュース3/1号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/8055.html
  ▽電力自由化論の致命的な欠陥(会議所ニュース2/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/7794.html
  ▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
  ▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html

 

四国電力が電気料金値上げを発表(会議所ニュース3/1号)

2013年3月4日 月曜日

(会議所ニュース3/1号掲載記事)

四国電力が電気料金値上げを発表

工場やビルなど自由化部門で17.5%
原発稼働なければ再値上げも
 2月20日、四国電力が7月からの電気料金の値上げを申請し発表した。すでに値上げを実施した東京電力に続き、4月には関西電力と九州電力が、7月からは東北電力が値上げを予定しており、四国電力が5社目となる。家庭や商店などの小口利用者向けの「規制部門」平均で10・94%、工場やビルなど大口の産業向けの「自由化部門」平均で17・50%の値上げとなっている。

  今回申請された値上げ、伊方原発3号機の今年7月の再稼働を前提にしており、再稼働ができなければ再値上げもありうる。
これは他の電力会社も同様。経済産業省の電気料金審査専門委員会によると関西電力、九州電力において稼働を見込んでいる原発が全基稼働しない場合の収入不足額は、関西電力は3641億円から7091億円に増加、九州電力は1516億円から3700億円に増加するという。
昨年11月末の関西電力、九州電力の値上げ申請後、その内容を審査するために開催された同審査専門委員会には、大阪商工会議所の西村貞一副会頭、福岡商工会議所・山本駿一環境問題委員長が出席し、それぞれ関西電力、九州電力の値上げに対する意見を述べている。
 日本商工会議所では、その後も同審査専門委員会にオブザーバー出席を続けて情報収集に努めている。

料金の上昇抑制と安定供給確保が課題
 日本商工会議所では一貫して、電気料金の上昇抑制と安定供給確保、原子力発電の安全性強化を現下の最優先課題として主張している。また、今後の意見要望活動のため、電気料金値上げに関する個別の意見を募集している。

(参考)
▽電力自由化論の致命的な欠陥(会議所ニュース2/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7794.html
▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html
▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
▽「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7145.html
▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html

活断層評価で議論呼ぶ原子力規制委と電力会社への注文(会議所ニュース3/1号)

2013年3月1日 金曜日

(会議所ニュース3/1号掲載記事)
日本商工会議所では震災以来、電気料金の上昇抑制と安定供給、安全性を確保した原子力発電所の再稼働が現下の最優先課題であると訴え続けてきた。遅きに失したとはいえ、昨年9月に原子力規制委員会が発足し、新たな安全基準の策定作業を進めていることは一歩前進である。しかし、委員会の動きにはマスコミ、有識者などから疑問の声も寄せられている。今回は、21世紀政策研究所の澤昭裕氏の執筆記事を紹介する。

活断層評価で議論呼ぶ
原子力規制委と電力会社への注文

 21世紀政策研究所 研究主幹 澤昭裕 氏

  ⇒全文は、https://eco.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2013/03/cci-news0301.pdfをご覧ください。

<要約>
原子力に対する信頼回復は、政権交代によってもたらされるものではない。リスクを許容可能な水準に抑えて、原子力発電を最大限活用していくためには、規制を守れば十分という意識から脱却し、自律的に安全を追求する事業者と、ゼロリスクの罠にはまることなく、信頼性・効率性・実効性全てを満たすような規制活動を目指す規制当局の存在が欠かせない。最大の問題は安全性の確保だが、その鍵を握るのが、原子力規制委員会(以下、規制委)のパフォーマンスである。

◆一部の専門家では信頼性は保てない:信頼性、効率性、実効性が必要
 原子力への信頼回復と今後の持続可能な電源利用を実現するために必要なポイントは、規制委の規制活動に関して、(1)信頼性、(2)効率性、(3)実効性である。

(1)  信頼性…規制委の判断や評価については、規制委に属する専門家のみならず、委員会外部(海外を含む)の専門家の間でも、その妥当性について大きな疑義が生じることがない程度まで、文書で明瞭な根拠が示されることが必要だ。また、規制委と政府、そして事業者がどのような権限と責任をもつのかを明確化する必要がある。さらに規制活動のプロセスも、規制委が行うそれぞれの行為の法的根拠を明確にし、その判断や指示を全てきちんと文書化していくことが重要だ。さらに、安全基準への適合の審査について、現時点で全く明らかではない。本来、こうしたプロセスの具体化は、昨年規制委が立ち上がった後の第1の仕事たるべきだ。法の執行手続きの整備に時間とマンパワーを割いてこなかった姿勢は大きな問題である。

(2)  効率性…今後の原子力技術の利用に関する規制の課題は、リスクをゼロにすることを目的とするのではなく、リスク低減のために求める措置の強度やコストとリスクの低減度合いとの兼ね合いをどうバランスさせていくかにある。日本では、「ゼロリスクはありえない」ということを学んだにもかかわらず、むしろそれがゆえに、再稼働にむけてゼロリスクを要求する世論が強まるという逆説的な状況が続いてきた。規制委自身がゼロリスクの呪縛に囚われた規制活動を行っていないか、自ら顧みることが必要ではないだろうか。

(3)  実効性…安全審査や検査が、安全基準への形式的な適合性を確認することに重点が置かれすぎ、全体の安全性を実効的に確保する活動に努力が振り向けられるようなインセンティブ設計がなされていなかったという点が最大の問題である。規制当局は最低基準としての安全基準を策定することに止め、事業者がそれをクリアしたうえで自主的・自律的に、世界最高水準の安全性確保のためのハード・ソフトの両面での工夫を凝らしていくという関係を築くべきだ。原子力事業者側にも、自律的な努力による安全性向上が実現するような工夫を、自らの社内組織ガバナンスや人事評価システムに埋め込む事が必要だ。

◆信頼回復は関係者の真摯な努力で
 原子力に対する信頼回復は、福島第一原発事故の反省に基づく原子力安全性向上に関する関係者の真摯な努力によってのみ可能となる。事業者は、「規制を遵守すればそれで十分」という意識からどう脱却するかに真剣に取り組まなければならない。

(参考)
▽電力自由化論の致命的な欠陥(会議所ニュース2/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7794.html
▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html
▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
▽「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線(会議所ニュース12/11号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7145.html
▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html

電力自由化論の致命的な欠陥(会議所ニュース2/11号)

2013年2月13日 水曜日

(会議所ニュース2/11号掲載記事)

 日本商工会議所は、電気料金の上昇抑制と安定供給の確保が喫緊の課題であると、東日本大震災以来、訴え続けてきた。電力小売りの全面自由化や発送電分離などの「改革」は解決策になるだろうか。「事実」に基づいて考えることが肝要である。今回は国際環境経済研究所の澤昭裕氏の執筆記事を紹介する。
 
電力自由化論の致命的な欠陥

 国際環境経済研究所 所長 澤 昭裕 氏

  ⇒全文は、https://eco.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2013/02/cci-news0211.pdfをご覧ください。

<要約>
 昨年9月14日、政府は「2030年代に原子力発電所稼働ゼロ」を柱とする革新的エネルギー・環境戦略を定めた。同戦略では発送電分離などを含む電力システム改革を12年末までに断行するとしていた。これを受けて11月7日、経済産業省の「電力システム改革専門委員会」が再開され、電力自由化の方針を進めていくことが再確認された。しかし、今の電力自由化論議には抜け落ちている論点が少なくとも3つある。

◆原子力事業抜きの議論はありえない
 第一の論点は、「今後国は原子力事業にどう関与していくか」を明確にすることなくして、電力のシステム改革を進めることなどありえないはずだが、改革議論の射程からは完全に外されてしまっている。
 国の基準を守っていたからといって、原子力発電所事故を起こした電力会社は、その損害賠償責任を免れない。電力会社のみが無限責任を負う現行制度の下では、電力会社が原子力事業を継続することは、難しくなっていくだろう。
 電力改革の当事者となる電力会社にとってみれば、日本が国家として原子力を維持するのか、維持しないのか、確固たる政策的な決断なくして、発送電分離はもとより、そもそも自由化に向けての企業戦略をどう考えていくかや、自らの事業範囲をどう拡張していくかなど、基本的な経営方針を立てることができなくなってしまう。
 あるいは、今後も原子力を維持するというのなら、官民のリスクや負担の分担をどうするのか、その関連で原子力損害賠償法をどのような仕組みにするのかなど、国として答えを出すべき問題は山積しているが、いっこうに議論が進んでいる様子がない。
 仮に自由化が進めば、電力会社は競争にさらされコストダウンを要求される。電力システム改革専門委員会がいっているように、経済性を度外視してでも、安全性を重視すべきというなら、自由化による競争と原子力発電の維持を両立させることは非常に難しくなってくる。結局、現在政府で進められている自由化論議は、原子力発電の取り扱いやエネルギーミックスに関する選択肢など、本来であれば総合的に検討されるべき課題との関連づけが不明なまま、進められているというほかない。

◆小売り自由化はどうなるのか
 政府の自由化論議で抜け落ちている第二の論点は、小売りの自由化をどうするのか、である。これまでの改革論は、いかに電力会社の既得権を剥奪するかということに重きが置かれており、発送電分離や卸電力取引市場という供給サイドの話しかされていない。ところが、原子力発電所事故を契機に電力システムについて関心を持ち始めたユーザーは、家庭を中心とする小口ユーザーだ。しかし、小売り分野での政策が全く具体的に議論されていない。

◆災害時の対応に不安
 第三の論点は、発送電分離を含む自由化を進めた場合、災害が起こったときの対応について、かなりの不安が残る。自由化によってこれまでの事業者の法的な供給義務が外された場合、市場メカニズムによって需給調整を行なっていくことになる。自由化されて競争が激しくなると、どの電力会社も余分な発電設備を持たなくなる。
 政府の電力システム改革専門委員会は、「東日本大震災は、わが国の長年にわたる電力供給システムの持続可能性について大いなる疑問をもたらした」とする。しかし、東日本大震災によって、かえって日本の電力システムの強靭さが証明されたのではないか。

◆恣意的かつ強権的な介入につながる恐れ
 自由化の目的は、あくまで電力ユーザーに対する低廉かつ安定的な電力供給を確保するために行われるものでなければならない。自由化の看板の下に隠れて、「大事故を起こした電力会社を懲らしめなければならない」という政治的目的だけを追求するものになってはならない。
 そもそも「電力の自由化=電力料金が下がる」という図式は、発電設備が余っていて、それが有効活用されていない場合の話である。いまの日本のように、原子力発電が再稼働せず、設備余剰が少ない場合、自由化によって電気料金は上昇するはずだ。自由化による電気料金抑制には、原子力発電所の再稼働が前提になっている。それにもかかわらず、その時期も決まらないうちに、自由化の論議だけを進めるのは危険だというほかない。
 このように、政府が進める電力改革にはさまざまな疑問が生じるのだが、一方で既存の電力会社にも従来の殻に閉じこもっていることなく、大いに変革を促したい。

(参考)
  ▽安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7158.html
  ▽電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7151.html
  ▽「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線(会議所ニュース12/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7145.html
  ▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html
  ▽「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧(会議所ニュース11/21号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6922.html

安全性を確保した原発の再稼働を(会議所ニュース12/11号)

2012年12月13日 木曜日

(会議所ニュース12/11号掲載記事)

安全性を確保した原発の再稼働を

         ⇒全文は、https://eco.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2012/12/cci-news1211b.pdfをご覧ください。

 電気料金の上昇を抑えるためには?
 全国的な電気料金の上昇は、原子力発電所の再稼働が遅れ、石油やLNG(液化天然ガス)の燃料輸入にかかる費用が増大していることによるものである。原発の不稼働・火力代替によって増加した国富流出は平成24年度の見込みで3・2兆円に上る(政府試算)。
 電気料金の上昇抑制のためには、安全性確認を着実・迅速に進め原発を順次再稼働していくしかないことは誰もが認めざるを得ない事実である。
 一方、化石燃料の輸入費用を抑えることも、今後の課題である。市場をにぎわす話題は、シェールガス革命により低下している米国の天然ガス価格である。現状、米国内で3ドル台なのに対して、日本は東南アジアを中心とする国から、5倍以上の価格で購入している。

 

輸入燃料費の抑制は確かに重要だが……
 しかし、当然のことながら、日本が米国内と同じ価格で天然ガスを購入することはできない。日本が購入するのはLNGであり、液化設備・輸出基地・海上輸送が必要である。追加コストは7ドル程度と言われており、こうした条件を整えることで、日本の輸入価格は10ドルとなる。
 加えて、米国はガス価格上昇を防ぎ、国内供給を優先するエネルギー安全保障の観点から、日本を含むFTA非締結国への輸出を厳しく制限している。最近、米エネルギー省は輸出が米国の経済的利益にかなうとする報告書をまとめたが、米国内でも賛否がある上、日本への輸出が実現するとしても、数年後の話となる。
 また、米国内価格と日本の輸入価格の差は、東日本大震災前には6ドル程度という時期もあった。米国からの購入が実現する時期の世界市況によっては、結果的に割高なガスを購入することになる可能性もある。
 輸入燃料費の増加は経常収支の赤字にもつながりかねない規模となっており、国策として費用低減を図ることが必要だが、楽観はできない。

 原子力コストは既にバックエンドを含む
 電気料金については、原発のコストについても議論がある。「廃棄物処理などのバックエンドの費用が含まれていない」という指摘はその代表的なものだ。
 しかし、これは間違いである。現在も電力会社はバックエンド費用を総括原価の費用に計上している。政府が昨年末にまとめたコスト等検証委員会報告書でも、バックエンド費用を1・4円/kWhとして計上。さらに、事故リスク対応費用、政策経費といった社会的コストなども含めて原発の発電コストを8・9円/kWh〜としている。
 同報告書は、LNG火力については10・9〜11・4円/kWhとしている。これはIEA(国際エネルギー機関)の『世界エネルギー見通し2011』が示している価格見通しを参考に試算したものであり、シェールガス革命の影響による世界的な価格抑制効果を反映した試算と言えるはずである。しかし、価格抑制の恩恵を受けるためには、国際交渉力の強化が必要である。原発という選択肢をなくせば、国際交渉力は決定的に低下する。

 総合的な観点から実現可能な選択を
 現下のエネルギー問題を一挙に解決する処方箋はなく、将来は不確実である。しかし、当面の電気料金抑制・安定供給のために必要なことは明確だ。中長期においても、安全性、エネルギー安全保障、経済性、地球温暖化問題などの総合的な観点を踏まえた実現可能な選択が必要である。

 

(参考)
 ▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html
 ▽「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧(会議所ニュース11/21号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6922.html
 ▽人々は「ゼロリスク」を本当に求めていたのか(会議所ニュース11/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/6816.html
 ▽原発再稼働の現場-大飯原発を例にして-(会議所ニュース11/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6805.html
 ▽電力供給を支える現場力-関西電力海南発電所の苦闘-(会議所ニュース11/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/news_front/6718.html

電気料金値上げ 中小企業に大打撃 各地から上昇抑制を要望(会議所ニュース12/11号)

2012年12月13日 木曜日

(会議所ニュース12/11号掲載記事)
 今後のエネルギー政策の方向性が定まらない中で、東京電力に続き、関西、九州など、各地の電力会社で料金値上げが予定されている。これに対し全国の商工会議所では、値上げが中小企業に与えるダメージを訴え、電力会社の徹底的な経営努力や、安全性を確保した原子力発電所の順次速やかな再稼働を要望する動きが活発化している。日本商工会議所でも、地域の声を踏まえながら、電力の安定供給と料金上昇抑制の道筋の明確化に向けて要望活動を強化していく。 

電気料金値上げ 中小企業に大打撃
 
各地から上昇抑制を要望

 ⇒全文は、https://eco.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2012/12/cci-news1211a.pdfをご覧ください。

 

<要約>
 9月に料金値上げを実施した東京電力に続き、11月26日、27日には、関西電力、九州電力が相次いで規制部門の電気料金の値上げ認可を申請した。
 これを受け同月29日、経済産業省の電気料金審査専門委員会での審議がスタート。同日の会合には、大阪商工会議所の西村貞一副会頭(左写真)、福岡商工会議所の山本駿一環境問題委員長(右写真)が出席し、それぞれ関西電力、九州電力の値上げに対する意見を述べた。
 西村副会頭は、商工会議所などの調査において、電気料金値上げの影響について、大幅な料金アップで、地域経済を担う中小企業、さらには雇用など、広範にわたりダメージが生じることへの懸念を強調。一方で、電力の安定供給に向けた今回の料金引き上げは「ある程度やむを得ない」との認識を提示。引き上げに当たっては、①関西電力の徹底した経営努力による値上げ幅の圧縮、②中小企業の省エネ投資に関する国の支援策の拡充、③安全性の確保を大前提とした原発の順次速やかな再稼働、などを実現していくよう求めた。
 また、「委員の中に産業界出身者がいないのは残念」と述べ、雇用の約7割を担う中小企業の声をくみ取り、バランスのとれた審査を行っていくよう訴えた。なお、この訴えを受けて、次回会合からは、日商がオブザーバーとして参加することとなった。
 山本委員長は、各企業が節電のため不断の努力を続けていることを強調し、「さらなる負担を強いる料金値上げが長期化すれば、中小企業は耐えられない」と主張。さらに、生産抑制や労働負荷の増大、コスト増を伴うような節電が必要な状態が続けば、中小企業の経営、雇用への影響も避けられず、地域全体が疲弊していくとして、「安い電気を安定的に供給することが、国民生活と経済の安定の必須条件」と訴えた。その上で、電気料金上昇抑制と電力の安定供給のため、原発の安全に誰が責任を取るのか明確にし、その後、安全を確保した原発を順次再稼働させていくよう求めた。

<参考資料>
 ▽「総合資源エネルギー調査会総合部会第11回 電気料金審査専門委員会」(経済産業省HP)配布資料
   http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denkiryokin/011_haifu.html

(関連記事)
 ▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html
 ▽「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧(会議所ニュース11/21号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6922.html
 ▽人々は「ゼロリスク」を本当に求めていたのか(会議所ニュース11/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6816.html
 ▽原発再稼働の現場-大飯原発を例にして-(会議所ニュース11/11号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/6805.html
 ▽電力供給を支える現場力-関西電力海南発電所の苦闘-(会議所ニュース11/1号)
    https://eco.jcci.or.jp/news/news_front/6718.html

「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線(会議所ニュース12/11号)

2012年12月13日 木曜日

(会議所ニュース12/11号掲載記事)
シェールガスの開発が進めば、天然ガスの価格も大幅に安くなり、原発に依存しなくても良いという人がいる。はたして本当に正しいのだろうか。欧米のエネルギー事情などを富士常葉大学の山本隆三教授に解説いただく。

「夢」と呼ばれる日本の「革新的エネルギー戦略」と欧州・米国の現実路線

 富士常葉大学総合経営学部教授 山本 隆三 氏

 
 ⇒全文は、https://eco.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2012/12/cci-news1211c.pdfをご覧ください。

<要約>
○海外の主要マスコミは、「革新的エネルギー・環境戦略」を実行可能な選択肢とは見ていないようだ。
○環境、エネルギー問題の専門家と言われる人でも、欧州の事情の誤解に基づく主張をする。日本のエネルギー戦略を考える際には、欧米のエネルギー事情などの世界情勢を踏まえる必要がある。
○なぜ、欧州では天然ガスの消費が減少し、石炭消費が増えているのだろうか。それは、米国で開発が進むシェールガスが欧州のエネルギー供給にも大きな影響を与えているからだ。実際に天然ガス価格が下落しているのは、米国だけだ。欧州では、シェールガス生産が本格化しておらず、ガス価格も全く下落していない。それは原油価格にリンクしているからだ。日本の新聞、テレビの報道では、シェールガス革命によりあたかも世界中の天然ガスの価格が下落しているように伝えられているが、誤解である。
○米国ではシェールガスの生産増により、石炭の国内消費が減少した。国内の需要減を補うため、米国の多くの石炭会社が欧州向けに輸出攻勢をかけている。排出枠の価格も低迷しており、欧州企業は、安い石炭を購入し、二酸化炭素排出量の増える分排出枠を購入する。温暖化問題よりも経済性を重視しているといえる。
○米国は、シェールガスとシェールオイルの生産増により、中東、ベネズエラへの依存度低減は確実に実現されそうである。米国の中東での存在感が薄れ、不安定化が増すと、原油価格に大きな影響を与える可能性がある。 原油価格が上昇した場合には、天然ガスも石炭の価格も上昇する。脱原発を目指し、原子力というオプションを日本が失っていたなら ば、化石燃料の中で多様化を図っていたとしても、欧米諸国以上の打撃を日本だけが受けることになるだろう。
○欧米の再エネ関連企業が中国企業に追いつめられている状況をみると、グリーンビジネスによる経済成長は実現性に疑問がある。

※これは、2012年11月22日付ウェッジ・インフィニティに掲載された記事を、株式会社ウェッジの許可を得て転載したものです。 

(参考)
  ▽「原発集中立地県からみたエネルギー・原子力政策」(会議所ニュース12/1号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/7043.html
  ▽「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧(会議所ニュース11/21号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/6922.html
  ▽人々は「ゼロリスク」を本当に求めていたのか(会議所ニュース11/11号)
       https://eco.jcci.or.jp/news/6816.html
  ▽原発再稼働の現場-大飯原発を例にして-(会議所ニュース11/11号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/6805.html
  ▽電力供給を支える現場力-関西電力海南発電所の苦闘-(会議所ニュース11/1号)
     https://eco.jcci.or.jp/news/news_front/6718.html