一般社団法人日本経済団体連合会はこのほど、「エネルギー・環境に関する選択
肢」に関する意見を取りまとめ、公表した。意見書では、エネルギー政策に求められ
る基本的視点として、「安全性を大前提に、エネルギーの安全保障(安定供給)、経
済性、環境適合性の適切なバランス確保」「政策の費用対効果や、国民生活、企業活
動への影響を十分考慮し、成長や国民生活に必要なエネルギーを確保」「省エネル
ギーや再生可能エネルギー技術の開発・普及に最大限努力」「エネルギーの需給
ギャップが生じないよう、現実的な導入可能量は十分精査」「リスク分散と資源国に
対する交渉力確保の観点から、エネルギー源の多様な選択肢を維持」「地球温暖化問
題には、経済との両立を図りながら着実に取り組むべき」などを提示。「エネル
ギー・環境に関する選択肢」の3つのシナリオについては、各シナリオ共通の問題点
として、「エネルギー需要の予測の前提となる経済成長率の想定が、政府の成長戦略
との整合性がない」「省エネは、現行の野心的なエネルギー基本計画を、さらに上回
る水準を想定」「再生可能エネルギー等も、実現可能性の検証は不十分で裏打ちする
対策も不透明」「省エネ・再エネ等の導入量は、楽観的なものではなく、経済性を含
め現実的な想定とすべき」「政府のエネルギー政策は、国民生活や産業、雇用を守る
ものでなければならない」「産業の国際競争力や雇用への影響などについての詳細な
分析がなされていない」「温室効果ガスの排出削減について、国際的公平性の検証が
なされていない」などの点を指摘している。
わが国がとるべき選択肢については、「3つのシナリオとも実現可能性や経済に及
ぼす影響など問題が多い」として、より現実的なものに再構築する必要性を強調。5
年以内を目途に、エネルギー分野の技術革新、省エネ・再エネ技術の導入状況と国民
負担の関係、国際情勢、原子力に対する国民の信頼回復等の動向を検証し、エネル
ギー・環境政策を抜本的に見直すべきとしている。